今回は奈良県にある『鏡作坐天照御魂神社』のご紹介です。
磯城郡にあるこの神社、その名の通り鏡を作る人『鏡作部』の信仰が厚い神社とされている神社です。では、今回はそんな鏡作坐天照御魂神社に一礼。
神社概要
この神社の創建は古く崇神天皇の頃に遡ります。『鏡作坐天照御魂神社』という神社の名前は鏡作に鎮座する天照御魂神の社という意味で、元々この辺りに鏡の鋳造家(鏡作部)がこの一帯に定住していました。三種の神器『八咫烏の鏡』を皇居に置くのは畏れ多いという事で、皇居へ奉献する別の鏡を作る事に。
当時の鏡作部は崇神天皇に『内侍所の神鏡』を奉献した際、̪試鋳した御鏡を天照國照彦火明命の宿る鏡として称え、併せて石凝姥命、天糠戸命をお祀りした事が起源とされています。
三種の神器に代表される通り、古来から鏡には神様が宿るとされています。ご本殿に鏡が置かれるようになったのは、明治に入ってからの法令によるものですが、『鏡を置く』というのは神様がそこに宿るとされていたからなんだとか☆
ご祭神は以下の3柱。
・天照国照日子火明命(あまてるくにてるひこほあかりのみこと)
・石凝姥命(いしこりどめのみこと)
・天糠戸命(あめのぬかどのみこと)
ご利益は鏡の神様と言うだけあって、鏡業界と言うのか不明ですが、鏡の製造メーカーは勿論、美容など『美』に携わる方からの信仰が厚い神様です。
天照国照日子日明命は陽光や熱の化神とされる神様です。『天照』と名前にありますが、天照大神とは別の神様という事ですが、太陽神と太陽の光の神様という事で親子かと思えば、どうやら孫にあたる神様のようです☆
境内散策
この神社は奈良県磯城郡にあります。国道24号線沿いから少し離れた位置にあるものの、交通量の多い神社の脇にあるとは思えない位、境内は静寂に満ちています。
鳥居を抜けた先の木々に囲まれた参道。木漏れ日が差し心地よい風が木々を揺らし、ゆっくりとした時間の流れる空間で、夏でも暑さをそれほど感じません。
まあ、暑いか寒いかと言うと暑いんですが
どっちやねん☆
本殿・ご拝殿
参道をまっすぐに奥まで抜けると見えてくるのがこの神社のご拝殿、そしてご本殿です。
鏡石と鏡池
本殿手前にあるのが鏡石と鏡池です。
これらは鏡に直接関係するものと言う話ではなく、鏡石は古代、鏡を作る工程で使われた用具で、この真ん中のくぼみに粗鏡をはめ込み、研磨作業を行ったと推察されていて、鏡池はこの鏡石が見つかった池という事で、これらに『鏡』と名前が付いているようです。
鐘楼
この神社も神仏習合の折、神宮寺が置かれていていました。その名残で今も安置されているのがこの鐘楼。連打するな、全力で撞くな、など大人ならわかるマナーさえ守れば、宮司様はむしろ『撞いていってくださいね』と気さくにお声がけを頂けるほど。
遠慮なくつかせて頂きましたが、寛政7年鋳造だそうで、かなり歴史深いものでした。
御朱印
御朱印は本殿左奥の社務所で頂けます。鏡鋳造の神社だけあって、鏡の絵が特徴的。
アクセス
- 住 所:〒636-0311 奈良県磯城郡 田原本町八尾816
- 駐車場:あり
奈良県磯城郡内国道24号線から西へ。道を折れる箇所が少しわかりにくいので注意が必要です。(駐車場境内に若干数あり。)
まとめ
今回はこれで以上です。
今は鏡って身近で日常にありふれた何の不思議もないものですが、改めて考えてみると神秘的なものだと思いませんか。自分の姿が何も介さずに映るものって鏡以外にありませんよね。その神秘さ故に畏怖・恐怖の題材とされる事もしばしばある訳ですが。
神社のご神体の鏡は、御神鏡に映る自身と自分の中に宿る神様を改めて見つめなおしてね、と言う意味があるんだとか。鏡鋳造の一ページに触れてみたいという方、一度ご参拝下さい。