今回は久々にお酒のあてシリーズお魚編『黒ソイ』です。
ネットで調べるとヒットするのが『黒ソイ 不味い』、『黒ソイ 臭い』。食べ物なのになぜか散々な言われようなこのお魚。今回はそこら辺の真偽も含めてレポート。
黒ソイって?
クロソイというのは黒いソイのこと。
ソイというのはいそうお(磯魚)がなまったのが語源とされているんだとか。多くの人は黒ソイお好きですか?の質問にはまず黒ソイって何?!から入っていく必要がある、あまり私生活とは縁のない魚の一つです。
カサゴの仲間というくくりで、カサゴ自体そこまでようけ市場に出回っているものではないものですから、敢えて黒ソイを意識して食べる機会などないかもしれません。
そこへ加えて前評判も悪く、敢えて黒ソイをチョイスする理由が見当たらないように見えるかもしれませんが、この魚超安いんです。
これ、大体一匹20cmちょいというところで、料理にもよりますが大体2,3人前サイズですが、これで398円。街のみなとさんが安いのもあるんですが、そこらのスーパーでタラで換算すればお値段4倍くらいすることでしょう。そのくらい破格の安値、さすがネットでの悪評は伊達ではありません。
毒さえなければ調理でカバーできる、そうこのお魚はまさに料理の腕の見せ所な魚なんです。
調理
一尾を広げてみるとこんな感じです、フライパンに乗り切りません。
この魚の悪評は主に『不味い』と『臭い』。不味いは正直どうしようもありません。
でも不味いのも理由があるわけで、その理由が臭いだとしたら。今回はそこらへんを意識した調理方法に絞っていきたいと思います。
香草焼き
個人的によゐこ濱口さんのような無人島生活に強い憧れがあって、魚は直火焼きが一番うまいと思って疑わない僕ですが
最寄りの海が他府県のほうが近い京都で無人島なんて望むべくもありません。また当家ではグリルで魚を焼くことは汚れるから禁止という謎のルールがあって黒ソイが大きくてちょっとグリルのサイズオーバーのため、今回はオーブンを使用。臭み消しにニンニクとオリーブオイルを混ぜたものをまんべんなく塗り込みます。
これを予熱180℃のオーブンへ焼き加減を見ながら10分ほど。反対へ向けて同じ時間だけ焼いてみると
いい感じの白身魚のオーブン焼きが完成。見た目はまあ問題なく仕上がりました。
味のほうは
臭い
生臭い方ではない、あの鯉とかバスとか食べた時と類似した泥臭い方。魚の身自体が白身で触感も普通、ごくごく食べやすいものであるが故に泥臭さはより一層際立ちます。なお、残念ながら僕の講じた臭さ対策は1mmも有効に発露されていないようで、ただただ泥臭さばっかりが強調された一品ができてしまいました。久々に歯ごたえのある魚のようで僕も本気にならざるを得ないようです。
アクアパッツァ風に
いつもブイヤベースとアクアパッツァの境界線があいまいな僕の料理ですが、焼いてだめなら煮てみようという若干安直な発想なものの
トマト煮込みにしていきます。まずは副材にするいかやアサリをバターで炒めていきます。ニンニクはチップのほうがよいでしょう。そこへ黒ソイをドーン。
繊細な作り方とは無縁ですが、その豪快さが僕のウリだと思っていますので
ここへカットトマト、白ワインを足してひと煮立ちさせてから蓋をしてじっくりと煮込んでいきます。
味見、泥臭さ指数80%というところでしょうか、便宜上100ではないと表現しているものの、まだ現時点では食べ物とすら呼べません。姉妹揃って旦那の料理が70点以下だと箸もつけないという理不尽な業を背負わされている私じゃなくても食べてもらえるレベルには達していないように感じます。
いいだろうここからは本気でやってやる
まずニンニクのチップ、パクチーなどハーブ系のリーフを上から載せて蒸し焼きに。更にウォッカ一振りしてフランベ。
本来はリーフの生の食感を楽しみながら食べるなんて演出を考えていたんですが、入り口で臭くて食べれないんじゃお話にもなりません。まだ若干残りますが、ここまですればさすがに臭さを感じることはなくなりました。身自体は自己主張の少ない魚なので、これだけこってこてにするともはや原型が何なのかよくわからないものにはなってしまいますが、とりあえずおいしく食べることはできました。
まとめ
今回はこれで以上です。
鯉やバス、マスなどを食べるときは予めある程度泥臭いのも知っているし、泥臭いなりの食べ方を講じるのですが、黒ソイの臭みは正直意外だったといえます。
適切な下ごしらえをする以外にはどうしても無理やりその臭みを消しにかかるしか方法がないので、今回のようなごってごての料理になってしまうのですが、明日のことを考えなくていい日などにお思いっきりごてごてに飾って料理するのには適したお魚のような気がします。