神社に一礼

近畿圏内で神社・ラーメンを中心に『明日どこ行こ?』に答えられるブログを目指しています。

素敵と不思議、安珍と清姫、玉の輿の宮子姫伝説の『道成寺』

今回は和歌山県にある道成寺のご紹介です。
このお寺、非常に長い歴史を持ったお寺なんですが、不思議な髪長姫の伝説や浄瑠璃の舞台ともなった『安珍清姫伝説』の舞台となった場所でもあります。
では今回はそんな道成寺に一礼。

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寺院概要

お寺があるのは和歌山県日高川町

この寺院があるのは和歌山県日高川町。縦に細長い和歌山を解説するのは難しいんですが

概ねいつも解説ずれてるから気にすんなよ☆

和歌山市からずっと南へ、北端の和歌山・南端串本に対しちょうど中腹くらいにあるのどかな街です。

道成寺にまつわる伝説

このお寺の創建はとても古く、実に1300年を数えるんだとか。日本でも有数の歴史を持つそういった意味でも見応えのある場所なんですが、このお寺は不思議な伝説が二つも残されています。

髪長姫伝説

この寺院の創建にかかわる物語です。
昔、この辺りの村長に娘が出来ましたが、その子は大きくなっても髪の毛が全く生えてこなかったんだそうです。字で書くとふ~んって感じですが、絵面を想像するとかなりシュールかつ地味な呪い(?)です。命に別状とかがない分だけ他人に苦悩を理解してもらいづらく、本人だけがひたすら苦しい、そんな情景が浮かびます。
さて、時を同じくしてこの辺りの海(多分海岸線はもっと手前だったんでしょう)では海底に光るものが見えるようになり、それと共に不漁が続いていました。
その光の正体は小さな観音様。髪のない女の子の母親は海底から観音様を引き上げ、毎日拝むようになると女の子はみるみる髪の毛が生えてきました。女の子の設定が何歳かなどディテールが不明の為判然としませんが、個人の成長の差では?とか言う余計なツッコミはこの際野暮というものでしょう。
ただ単に髪の毛がないだけで元は別嬪さんだったその子は以来、髪長姫と呼ばれる美貌を誇るようになります。髪がないだけでおそらく目鼻立ちは端正だったのだろうことが窺えます、容姿端麗ってこれだから。。。
その美貌は平城京遷都でも名が知られる藤原不比等の目に留まり養女となります。
宮子姫と名を改め、更に宮中で召し抱えられるように。そして遂には時の文武天皇の夫人に選ばれるまでになったんだとか。
この伝説からこのお寺は玉の輿のご利益があると言われています。
お寺は宮子姫が髪の毛をはやしてくれた観音様と祈ってくれた両親への心遣いで建立されたのがそもそも興りだとされています。

安珍清姫伝説

こちらの物語は浄瑠璃や歌舞伎等の演目でもお馴染み、ご存じの方も多いかもしれません。
主要な登場人物は二人、遠い奥州(東北の方)から熊野参詣に来た若いイケメンの僧『安珍とその僧に一目ぼれした地元の国造の娘『清姫
イケメンに一目ぼれした清姫は夜這いを仕掛け猛アプローチ、筆者はモテたという経験が一度もないので心中を測りかねるところですが、恐らく有難迷惑か、ただの迷惑の2択でしょう。安珍は後者だったようで自分は参拝に来たのでそんな迫られたら困る、帰りに会いに行くから清姫を家に帰します。ですが、これは嘘で立ち寄る気もない、実際に立ち寄りもしません。仏門の身を置いてる者が普通に嘘つくなよと言いたいところですが、これが世間でいう『ストーキング』に対し『ドン引き』している姿なのかもしれません。
一方で、ドン引かれた側の清姫は怒り心頭、まあ嘘つかれて約束すっぽかされてますからね、裸足で安珍を追跡します。理不尽この上ないですが、やはり男子たるもの断る時はきっぱり断らないと、といういい例なのかもしれません。この裸足でという辺りから既に愛憎劇というよりホラーです。
さて、追いかける清姫に追いつかれた安珍は伝家の宝刀『人違いですよ』を披露、更に熊野権現に助けを求めて目くらましを炸裂、その隙に逃げ出します。
舞台は移動し日高川へ、川を渡ってから船頭に後から来る娘は渡さないように申し付けます。船頭にしてみれば知ったこっちゃねえよというところですが、素直に聞いている辺り安珍の必死さが伝わったんでしょう。清姫は当然川を渡れません、既に怒りが頂点に達していた清姫は変態ならぬ変体、大蛇となって追撃を再開します。
道成寺に至った安珍は住職に匿ってくれるよう懇願したところ、住職は降ろした鐘の中へ匿う事にします。住職めっちゃいい人です、でもいい人じゃないというか、そんな義理ねえよという個人的には普通の感覚を持ち合わせた人もいたようで、戸を立てて隠すように指示した住職の言いつけを無視した人もいた結果、ただ不自然に降ろされた鐘の中に人を入れただけという滑稽な状況を作り出してしまいます。
後から訪ねてきた大蛇清姫は当然隠れ場所を看破、鐘に巻き付き火を噴いて遂には安珍を焼き殺してしまいます。その後、清姫も入水し、住職は二人が蛇に生まれ変わった夢を見ます。二人を思って法華経を唱える住職のお陰で二人は成仏し、天人の姿で住職の前に姿を現し礼を言っていくというお話です。
イケメン爆発しろを地でいくお話ですが、人間の理不尽、親切、無関心など人人毎で色んな感情が織り交ざった物語として面白かったのか、その後このお話は色んなバリエーションで語り継がれて、今日に至る事となります。

寺院について

駐車場は有料(500円)ですが、管理のおばちゃんは気の良い人で近隣のスポット案内などにも気さくに応えてくれるので、周辺散策をがっつり楽しむことを考えれば安いものでしょう。

境内散策

仁王門

寺院の入り口はこの石段を登った先にあるこの立派な仁王門。

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この手すりの両外側が道成寺七不思議のひとつで、ハの字のこの土手は実際より長く見えたり、短く見えたりするんだとか。

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これが上から眺めた図。すみません、地味すぎてよくわかりません。

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性格が雑やからそういう機微に気づけないだけちゃうかな☆

道成寺に鐘は心に響く

安珍清姫のお話の通り、初代鐘楼は焼失してしまったそうです。

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400年後、二代目鐘楼が造られることに。無事完成した鐘の供養を女人禁制でおこなう事に。初代の謂れというよりも総本山の比叡山はじめ、天台宗にはそもそも女人禁制の考え方があるようです。さておき、供養中に突如現れた白拍子が鐘供養を妨害、大蛇へと姿を変えて鐘を引きずりおろし、中へ消えてしまいます。この白拍子実は清姫の怨霊とされているんだとか。
清姫の怨霊を恐れた僧たちが祈念すると鐘は鐘楼に上がったものの、怨念のせいで音がよくない。その上付近に災害や疫病が続いた為、山中へと捨てられたんだとか。
初代の伝説によれば最終的に清姫は成仏したはずなんですが、この話では絶賛呪い振りまきまくりだったり、呪物を山に普通に捨てるのってどうなの?とかツッコミどころは
あるものの、以来200年は放置されていたそうです。
その後戦国時代に入り、和歌山を拠点とした鉄砲集団『雑賀衆』攻めのどさくさで、どっかへ持ち去られてしまいました。そして2年後、何故なのかはるか遠く京都の妙満寺に奉納されることとなります。という訳で二代目も消失
じゃあ、三代目をという話になるんですが、二代目は消えたわけじゃないので三代目を造るわけにはいかないという事で現在の道成寺には実物の鐘はなく、舞台の中でのみ鳴り響く鐘のみが残ったというお話。道成寺の七不思議の一つなんだとか。
不思議っていうか、このお寺、めっちゃロマンチックです。

あんたの感想で全部台無しやけどな☆

御本堂

仁王門をくぐった先に見えるのがこのお寺の御本堂。

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お寺と言えばお線香ですが、ここのお線香は変わっていて文字が浮かび上がるんです。
ちょっと何言ってるのかわかんないと思った方は実物見るのが一番話早いです。

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見落としがちですが、御本堂は裏参りが出来ます。

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ここには秘仏の千手観音様がお祀りされていて、三十三年に一度三十三日間だけ公開(御開帳)されるんだとか。ちなみに次回予定は2038年とリアルに僕が無事かどうかすら危ういほどの未来です。御開帳を大切な人とお参りできれば、次回の御開帳もその人と一緒に来ることが出来るといわれる縁結びパワースポットです。
ですが、三十三年中三十三日間しか真価を発揮しないパワースポットではなくて、たとえ開帳していないときにご参詣したとしても、次の御開帳に一緒に来れるようにと二人の絆を観音様が強くしてくれる、そんなめっちゃロマンチックなパワースポットです。

三重塔

御本堂向かって右手にそびえるのが三重塔。

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和歌山と言えば台風です、よく近畿地方に上陸する際には真っ先に被害を受けとめてくれるそんな度量の深さを見せてくれる和歌山。
そんな土地に建つ道成寺も幾度となく台風には悩まされたようで、初代の塔は創建当初の奈良時代に建てられて今もその遺構が残っているだろうということで。
ここの歴代住職さんたちも幾度となく建てては壊れる塔に頭を悩ませたようで、出した結論が近所(といってもここから20㎞程あったそうですが)の神社の御神木を頂き、それを心柱とする事。御神木を切り倒すなんて恐ろしい話のようですが、木を切り倒す=木をこ〇す事にはならずむしろ材木となるとそれまで木としての生きてきた年数以上の寿命を得るとされているそうで、以来そんな立派な御神木に中心をしっかりと支えてもらうようになった三重塔は災害にも負けない塔になったようです。

奥の院

御本堂の裏手へ、短い急坂を登った先にあるのが奥の院

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奥の院自体がどうこうというよりはこの奥の院からの眺め。残念ながら天気に恵まれなかったのですが、それでも眼下の街を一望。

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朝夕は特に和歌山県朝夕陽百選に選ばれている場所でもあります。

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宝仏殿

御本堂ほかの大抵は無料で拝観できるのですが、境内唯一の有料拝観エリアがこの宝仏殿。お値段というより大部分が見て回れるので今更感に陥りがちですが、この寺院のだいご味はここにあります。

筆者は600円ケチってスルーしかけましたので、皆さんはお気をつけて☆

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絵とき説法はわかりやすく

ここの一番の名物のようです。絵とき説法とは文字通り絵でこの寺院にまつわるお話を紹介してくれるんです。

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前述の道成寺安珍清姫伝説もわかりやすく、かつ軽妙なトークで語ってくれるお話はこれだけでも聞く価値ありです。

国宝ほか希少な仏像の拝観も解説付き

この宝仏殿には国宝3体ほか希少な仏像が多く展示されています。そしてこちらも各像について手短にかつわかりやすく解説をしてくれます。中心の三体が国宝で、ほか十二支の仏像のお話、髪長姫伝説の宮子姫像には本人または縁者の玉の輿にご利益があるお話など。

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道成寺HPより

希少な仏像の数々の精巧な造りは見応えありますが、何よりここでは触れるくらいの近さで像を眺めることが出来る貴重な体験ができます。

御朱印

御朱印は宝仏殿前の授与所にて頂けます。

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周辺スポット

あんちん

このお寺は結構各所で寂れ感が著しいお土産街が少ないながら元気に営業しています。そのうちの一つが伝説の主人公から名前がきているだろう『あんちん』。
道成寺と言えばやっぱり鐘、そんな鐘を模した『釣鐘まんじゅう』が名物。

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五個600円ですが、バラ売りは単品100円という謎の値段設定。どうやらこの袋自体のデザインが有名なデザイナーによるものだそうで、要は袋代ということのようです。

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つりがねまんじゅうを購入した特典(?)として、この鐘を三回たたくことが出来ます、願いが叶うかも、なんだとか。

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思った3倍の音が出るので、ある程度身構えておきましょう。

吉田八幡神社

寺院から西へ数百メートルほど、吉田八幡神社です。

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どうやら道成寺創建のきっかけとなった髪長姫の生誕地がここらしく、そのあたりを説明する碑が建てられていました。

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御坊市というのはここの隣にある港町ですが、美人のさととなかなか自らでハードルを上げる街のようです。

まとめ

今回はこれで以上です。
ここへ来る人の大部分は安珍清姫伝説ゆかりのお寺として訪れるんだと思いますが、それだけで終わらせてしまうのはあまりに勿体ない場所です。
ここまで解説しての通り、境内の広さはそこそこですが見どころが満載です。何よりおもてなしというか、縁起や各所の所縁などを相手に伝えようという気持ちがはっきり伝わってきます。解説したのはまだまだ一部、見どころいっぱいの道成寺をたっぷりと堪能してください。